
お知らせ
『下足番』
新緑が鮮やかに目に映り朝の散歩をしていても気持ちがいい季節です。
私が就職した頃は、バブル期で大卒は比較的就職しやすかったのですが、俗に言う「五月病」が新卒新入社員に蔓延し、ゴールデンウィーク明けには退職者が急増していました。
初任地が東京日本橋の大都会で建築営業本部だった私は、定時残業が終わる20時頃からは、いわゆる夜の接待の為に日がかわる深夜までお得意様の企業役員さんの靴をお預かりし、お店の入り口で揃える『下足番』が新入社員の役割でした。
お預かりした履き物はどれも蒸れてなんとも言えない臭いがし、雨の日は、汚れて湿った革靴をタオルで拭いて揃えてることもしばしばありました。
お腹は減るし、何のために「花のお江戸東京」に来たのかと、悔し涙を流したこともありましたが、見た目には優しそうな営業マンが乱暴に靴を脱ぎ捨てたり、逆に一見強面の役員さんが、笑顔で若僧の私にそっと靴を丁寧に揃えて渡してくれたりしてくださいました。
今となっては、新入社員時代の『下足番』の経験が、様々な人の心の内を垣間見たり、人への公平な接し方の大切な経験にもなったと思います。
社員寮に帰宅する前に週に一度食べた350円のラーメンの美味さは未だに忘れられませんが・・・(微笑)