お知らせ
連日クマの出没が報道を賑わせています。
ちょうど一年前、私の住まいします栗東市金勝学区では「クマが出た!」との噂がウワサを呼び地域はパニックとなりました。
その後、県議会一般質問でも取り上げさせていただき、先月も琵琶湖博物館長や副館長に地元の小学校で講演をしていただきました。「熊は臭いに敏感」「熊は視力が悪い」「想定外に走力は優れている」等々、講師の説明に全校児童のみならず、大人までもが真剣に聞き入ってくださいました。「急速になぜ人里に熊が侵入してきたのか」「人の生活圏にまで熊が入ってきたのか」専門家によると、その理由は以下5つありそうです。
1つには、山林の木の実など餌の減少により生き残るため、食料を探して里におりてきたこと。とりわけ不作年にはその傾向が著しいこと。
2つには、熊が好む天然広葉樹林が減少し、餌や隠れ場が少なくなり、人と熊との境界が急激に低くなることでの森林環境の変化に加えて、山間部の過疎化や耕作放棄地、果樹園の放置による人との居住する場所が近づきやすくなることで両者の距離が縮まり垣根が低くなったこと。
3つには、地球温暖化や豪雨の気候変動の影響により、熊の冬眠する時期や日常のルーティーン、行動範囲が変化したこと。
そして4つ目には、行動学習ができてない若い熊が、肉の旨味を知り、餌を求めて人の居住地まで入り込んだり、市街地に迷い込んだりすること等々、人と熊との生活圏域が変わり、山の食料不足と相まって環境が大きく変化したことが大きな要因だと言われています。
私たちはこの現実をしっかり見つめて長期的な対策に取り組んでいく必要があります。
人と熊とが共に生きていくための『駆除』と『保全』をしっかり長い目で行うことが何より大事だと私は思います。
熊の生息地である森林環境を改善し、環境収容力をスピード感をもってあげていかなければならないのです。
熊が増えたと聞けば、自然環境が豊かになっていると理解される方が多いかもしれませんが、現実、山林乱開発やソーラーシステムやリゾート地、ゴルフ場はじめ、中長期にわたって国土の開発事業が続いてきたことにより我が国の生物多様性が著しく低下してきたことも自省しなければなりません。
人の手による開発や土地の乱開発は、あらゆる生物の生活圏を及ぼすことから、共存は生やさしいことでは無いのです。中長期的な視点でどのように共存すべきか、今一度、便利さと快楽を求めすぎてきた人間の生活を地べたでしっかり改める必要もあると私は考えています。
深夜、熊対策の書物を乱読しながら、動物から人への『怒りの警鐘』がふと頭をよぎりました。
