お知らせ

『前線』

 春は桜、秋は紅葉。

 日本列島を北から南へ急ぎ足で駆けおりてくる一年で二つの前線を眺めていると、この国に生まれて来てよかったと思わずにはいられません。

 晩秋の野山を燃えるような彩に染める前線を横目に、日本各地の道路や住居地を今月末までは「選挙カー」が走ります。

 コロナ禍、仲間の選挙を手伝いつつも車やスピーカーで急ぎ足で走り、音量高く訴えるのではなく、自転車や徒歩でゆっくりと住民の皆さんと膝を交え、四季を感じながらじっくりと政策を話し合える。

 そんな選挙戦が『令和の選挙』であってほしいと願い、特に最近思うのは私だけではないはずです。

 

 お陰様でこの世に生を受けて五十八年。

 

 これまで日本各地の紅葉を愛でさせていただいてきましたが、特に自身印象に残っている三ケ所の風景があります。

 

 一つは、小学校四年生の時、初めて親父の乗務している新幹線に乗り、その仕事着姿を見ながら従兄と叔父と行った神奈川県箱根町の芦ノ湖の紅葉です。

 海賊船の様な観光船から見た湖上からの山々の紅葉の美しさにドキドキしたことを覚えています。

 

 二つ目は、高校二年生の九月末に修学旅行で行った、青森県十和田湖と奥入瀬渓流の澄みきった川面や湖面、空の青と山々の赤や黄色のカラーコントラストに息をのんだ紅葉です。

 出発時、京都駅の新幹線のホームから見た東山の峰々はまだ色づいてなかったのに、本州の最北部はもう落葉しつつあることに、日本の国土の広さを感じました。

 

 そして、三カ所目は、子どもが確か二・三才だった頃、思いたって急に訪ねた、滋賀県高島市朽木渓谷の紅葉です。

 どんぐりや山栗を長女と二人して拾い集め、川遊びをしたのも束の間、寒さで足の先(指)が冷たくなってかじかみながら、目前に迫りくる山々の自然の色に感動したことを昨日のことの様に覚えています。

 

 コロナ禍の中、今回立候補される衆議院議員候補の約千台の車や関係者が所狭しと全国を駆け巡ります。

 戦の最中、季節や紅葉を感じるなどもってのほかかもしれませんが、この国のかじ取りを決める地域の代表者。

 せめて、休憩時くらいは東京・永田町の大都会にはない、晩秋の地元の風景を深呼吸しながら見ていただくくらいの文化的な視野と人としての器量で戦いにのぞんで欲しいと考えるのは私だけでしょうか(拝)