お知らせ

『父子の関係』

 以前、明治大学に自治研修に行った後、日本歌謡界に偉大な足跡を残された作詞家、明治OBの阿久悠記念館を訪ねました。


 約1時間半、ゆっくりと見てまわる中で今も脳裏に残っている文章があります。


 「父親というのは、子供に対して、何をしてやれるかではなく、どう邪魔をしないかが一番難しく、一番大事なことだ。」という言葉です。


 私たち男性は母親の様に腹を痛めずに親になります。その瞬間から「子に過ぎたる宝なし」と考え、何とか立派な人間になる様にと、我が子が成長してからも、互いに自我が発達し強くなるので父子間は対立しつつあります。


 父子の間がライバル化してしまうのです。


 我が父の教育も自分のやり方をやみくもに押しつけたので、私は大学を卒業したら絶対家を出ようと思っていました。


【90歳になった今も、全て自分は正しいと考えている父】


 逆に、私は我が息子がしたいことに一切口出しはしませんでした。時代は流れている。先の見えない時代を読む力は息子の方が優れ、子が指し示し歩もうとしている生き方から学ぶべきことの方が多いと考えたからです。


 先日も息子から「お父さんから『したらあかん』と言う言葉きいたことないな」と言われました。


 高校までの彼はやんちゃで、どうしようもない子ども時代でしたが、遠方の大学で一人暮らしをし、今は次世代を育てる立場の仕事に就かせていただいています。


 私も先日62歳になりました。


 いたずらに子の自我と自分の自我を戦わせ、親子の縁を遠ざける結果になることを避け、素直に「老いては子に従え」を心に留めて息子の人生をそっと見守る姿勢に徹しようと思います。