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『良薬は口に苦し』

 

    諺を間違って使うことはよくありますが、過ってあいさつなどで口に出してしまい恥ずかしい思いをすることが大人になっても時折あります。

 ましてや政治家にとっては、言葉の使い方次第で致命傷となることも多々あります。

 昨今も、現職や前職、元職を問わず政治家や著名人の一言が大変な事件となり、辞任や辞職に追い込まれてしまうといった事例もあとを絶ちません。

 私も地元高校の生徒会長時代、今思い出しても恥ずかしい思いをしたことがあります。

 当時、タバコやバイクで荒れ始めていた高校。

 校長先生のご挨拶でさえ静かに聞こうとしない体育館。

  全校生徒の皆さんの前で私は開口一番「諸君、先生の一言一言をしっかり胸に刻んでおきましょう」「恩師の言葉は、頭痛や歯痛に効く薬と同様に『良薬は口に苦し』なんです」と。

 約五分の全校生徒に向けてのメッセージを終え、演壇から降りてすぐ、生徒会担当の先生に注意を促されました。

 「九里君。今の諺の使い方ちょっとおかしいよ。よく効く薬が苦い。苦い薬は痛みに効果があるという意味じゃないよ」

 「逆に、『人からの忠告や言動をいさめる言葉は聞いていても心地いいものではないが、自分自身のためになる』というのがこの諺の本来の意味だよ」と教えられました。

 猛省!!

 コロナ疲れに加えて、連日ワイドショーやインターネットでも人事の悪口が蔓延っているこの頃だからこそ、新型コロナウイルス感染拡大がおさまる気配が見えない今だからこそ、行政や政治家などの他者を責めてばかりいるのではなく、自分ならこんな時どうするか、どんなふうに動くかを国民ひとり一人が自分事として熟考してこそ文化的で真に自立した国家運営ができるのではないでしょうか。

 八年前、『奇跡のリンゴ』の映画を観、絶対不可能だといわれた無農薬リンゴを育て上げた伝説の農家 木村秋則さんに憧れ、当時、自宅近くに数本植えたリンゴの花や葉につき始めた虫を取りながら「新型コロナ」も絶対なくなる日が来ると信じている自分がいます。