お知らせ

『パンとサーカス』

 古代ローマの杞の人たちは日々自然の脅威に怯えながら生きていました。

 今、私たちの暮らしは未曽有の新型コロナ感染症に加えて、近年の地震や台風、大雨洪水に土砂崩れといった続々と起こる自然災害に想定内などないことを改めて思い知らされています。

 自分たちの血税で公助は成り立っていると、行政や政治家に進言しているうちはまだ良かったのかも知れません。

 既にこの国の借金はゆうに百兆円を超え、少子高齢化と言われて久しく、間近かに迫りつつある将来の年金や保険制度も徐々に崩壊の危機を迎えることも現実味を増してきています。

 しかし、年老いて幾つになっても働き続けなければならないことを国民全体が我がこととして実感しているといった雰囲気は未だ感じられません。

 今年度から滋賀県の監査委員として、県民のくらしに県財政がどう配分され使われているのか。

 どれだけの負担を皆さんが背負わされているのかをつぶさにチェックし、執行部に進言する重責を担っています。

 部局ごとの詳細な書類を見るたび、県や県民の皆さんのおかれている財政面での厳しい現実を否応なく知ることができるのです。

 感染拡大や医療崩壊が迫ろうとしている今日、一方で週末ともなると主要幹線道路は人の流れが止まらず、大型商業施設は人混みで溢れています。

 今も心肺停止で命の危険にさらされている県民さんがいる一方で、政治家や行政の発言や報道が軽んじられ、「また同じことやってんのか」と見飽きられ『習うより慣れよ』とばかりに、『緊急事態』の四文字が当り前の文言となりつつあります。

 「また、言ってるなぁ~」と大変な事態が起こっているにも関わらず、国民の皆さんの心には響いていないのかと私自身残念でなりません。

 今後、国民の大勢が新型コロナウイルスというワードに『思考停止状態』になることを私は大変危惧しています。

 先述の古代ローマ社会は『パン-食糧』と『サーカス-イベント・娯楽』の享受を時の権力者に求め、他方、市民たちは普通の日常生活を続けました。

 そして、帝国がたちいかなくなってしまった後ではじめて、今置かれている自国の状況に気づき、政治と権力者を批判し補償を求め始めたのです。

 -時すでに遅し-

 新型コロナウイルス感染症は『イベント-サーカス』『食糧-外食』のいずれも世界中の多くの人から奪ってしまいました。

 しかし、考えてみれば、今もコンサートやイベントをやり続け、一流レストランや寿司屋に連日通い続けている国民もいるのです。

 みんなが今すべきは『自制』なのです。

 足元で着々と進行している現実から、一人一人が目を背けることなく、この国や県、市町のおかれている状況を直視しなければなりません。

「私だけが行動したところでどうしようもない。どうにもならない。」と投げ出さないでください。

 諦めたらそこで試合終了。

 この国を『砂上の楼閣』にしないためにも今こそみんなで力を合わせましょう!(拝)