お知らせ

『習慣と選択~その危うさの中で~』

 新型コロナウイルスワクチン接種の二回目を受けました。

 午後二時開始の予定三十分前に会場に入ると既に待合室にはマスク姿の栗東市民の長蛇の列ができていました。

 皆一様にスマホを手にうつむき加減に頭を垂れられています。

 案内手順に従い無事接種を終え、接種後十五分間の待機場所に移動すると、ここにもスマホ片手に指を動かし指定時間が来るのを待っておられる大勢の皆さんが無言で足元を見ておられます。

 バス停に電車のホーム、病院の廊下に大学のキャンパス。

 老若男女、年齢を問わずこの国でどれだけの人がどれ位の時間スマホ画面にクギ付けになっているのか。

 ふとコロナ会場でそんなことを考えている自分がいました。

 

 現代人は一日平均四時間。

 若者の二十%の人が一日七時間もの間、スマホ画面を見ていると世界的ベストセラーとなったアンディシュ・ハンセンの著書「スマホ脳」に書かれていました。

 スマホの使い過ぎで蝕まれた人々の脳は確実に衰えるとその著書で現代人のスマホ依存に警鐘を鳴らしています。

 

 今週半ば、滋賀県の子ども達の学力、とりわけ国語力が著しく低下しているとの学力テスト結果が報道されました。

 こうした傾向を受け、滋賀県教育委員会では『読解力』向上のため、とりわけ『読書力』の推進を教育カリキュラムの一つの柱にすえるべきとの方向を示されました。

 

 子どものみならず大人も日常、刻々と選択を迫られて生きているのが今を生きる私たちです。

 私自身も朝起きるや否や家の周りを『歩く』か『走る』か。

 

 部屋に戻るやテレビ体操を『第一』までするか『第二』までするのか。

 

 朝食を『パン』か『ご飯』か。

 

 食後を『コーヒー』にするか『紅茶』にするか。

 

 コーヒーを『ホット』か『アイス』か等々。

 細かな選択から仕事上の大事な決断まで、意識の有無含めて、一日一週間一か月一年どれだけの『選択』を私たちはしているのか数えあげればきりがありません。

 『選び』の大小や軽重はあれど人がする(しなければならない)『選択』の半分近くは日常の『習慣』(ならわしとも言う)に従っているのかも知れません。

 こうした個の積み重ねが、個人の長い一生を形成するのです。

 先述の『スマホ脳』ではありませんが、最近は忙しさにかまけてスピード優先で器械に頼りすぎてはいないか。

 自身で『熟考し決める』ことが日本人から少なくなりつつある様な気がしてなりません。

 ましてや、高い意識や確固とした揺るぎない信念、価値観がなにより重要なトップ、とりわけ民の命や暮らしを守るべき立場にある政治家(首長)にとって、コロナ禍といった歴史上、類を見ない非常時には意思形成過程と情報開示、説明責任は何より大切な使命なのです。

 そうした中、昨日、菅総理が突如退陣を表明されました。

 一年間のご労苦にはご本人しかわからず言葉に出せないこともあろうかと察しますが、国の長である方の『進退に関わる選択』については、自らの言葉でしっかりと国民に向け最期は語っていただきたいと思います。 

 全国民にとって重大な『選択』なのですから。

 

-追伸-

 

 東京パラリンピック水泳競技で滋賀県栗東市出身でお父さんと長年懇意にしています木村敬一選手が金銀のメダルを勝ち取られました。

 十三年前、ご両親につれられ紹介していただき、栗東駅前の私の事務所でお話しました頃から立派にご成長されました木村選手。

 当時から、高い目的意識をもたれていることが一言一言の夢を語られる言霊から感じとれました。

 この十三年間。

 本当に、食事から睡眠、余暇に至るまで『己を律してこられた』が故の結果であったろうと思います。

 ご家族にとっても夢の金メダル獲得。

 心からお喜び申しあげます。

 まさに『努力という習慣はご自身の意識からの産物』であろうと存じます。

 困難にむかって日夜ご精進された氏こそ栗東市民、滋賀県民の誇りです。

 本当におめでとうございます。 

 そして、勇気と元気をありがとうございました。   (拝)